セミナージプシー

“セミナージプシー”という

言葉があります。

 

かつての私がそうでした。

 

具体的に

どのような状態かといいますと、

 

高額な自己啓発系セミナーを

片っ端から参加して、

 

渡り歩いている、

“参加すること”に

 

意義・幸福感を

感じていて、セミナーで

 

教授された内容について、

実生活で結果を

 

出していない人達の事です。

 

別名“自己啓発病”であったり、

“自己啓発依存症”なんて

 

呼ばれたりする

状態のことです。

 

私はプロフィールにも

書きましたが、

 

30歳代前半から

自己啓発系セミナーに

 

よく参加していたと

思います。

 

その場で得られた情報で、

 

“〇〇〇のマーケティング講座

がいいみたいよ”と

 

聞けば、すぐに申し込み、

参加して、

 

また別の会場で

参加した際、

 

今度は“△▼▽の

リーダーシップ講座の

 

評価がいいよ”と聞けば、

またすぐに申し込み、

 

参加して、

このような事を絶え間なく、

 

自分自身に

額な投資を

 

続けていましたが、

その当時は

 

何も不思議に

思いませんでしたし、

 

“継続は力なり”と

思っていました。

 

また、最新ビジネス書や

有名海外MBAスクール関連の

 

書籍を読破して、

優越感・特別感・安心感

 

にひったって、

今思えば必死で、

 

“優秀な、有能な”

ビジネスマンを“演技”

 

していたと思います。

 

そして

 

この“セミナージプシー”傾向は、

心理学・心理療法を

 

勉強し始めた時も

全く同じでした。

 

はじめは

 

NLP(神経言語プログラム)、

 

ゲシュタルト心理学、

 

ユング・フロイト関連

(精神力動論)、

 

認知行動療法、

 

トランスパーソナル心理学、

 

アドラー心理学、

 

精神科医

ヴィクトル・フランク

 

など

心理学専門書を買い漁って、

 

本棚に“飾って”いましたし、

(原文は難しくて理解できず、

途中で断念したものを多く含みます。)

 

有名な精神科医が

執筆された本は全て購入して、

 

同じく本棚に“飾って”

いました。

 

それと同時に、

いろいろな心理講座を

 

受講すれば、

受講生同士情報交換から、

 

また新たな心理講座の

情報を得て、

 

また参加する、上記の流れと

全く同じで、

 

絶え間なく続きました。

 

ごくありふれた心理学講座から

少し怪しい

 

スピリチュアル講座まで・・・・。

この頃には、金銭感覚が

 

麻痺していたと思います。

 

そして、

 

今現在、

心理セッションを

 

クライアント様に

提供している

 

立場になってみて、

改めて思うことがあります。

 

それは、

 

人間としての

“在り方:Being

 

が一番大切であるということを

痛切に思い知らされている

 

ということです。

 

上記のように、

私は“権威付け”られた

 

情報があれば、

クライアント様の課題・問題

 

はすべて解決できると

信じていました。

 

偉大な心理学者・精神科医

の残した系統だった

 

学問・知識で

すべて解決できると

 

信じていました。

 

でも、実際には、

難しいと感じています。

いくらカウンセリング中や

心理セッション中に、

 

“あっ、それはオペラント条件

付けを起こしてますよね”

 

とか

 

“それは学習性無力感

ですよね”

 

とか、

 

 

クライアント様に

提示したところで、

 

症状が好転する

訳ではないです。

 

 

 

それよりも、カウンセリング、

心理セッションの

 

最初から最後まで、

一人の人間として

 

関わることが出来るか、

ということが凄く大切だ

 

と思います。

 

知識・経験を

重要視して、カウンセリング、

 

心理セッションを行うと、

確かに記憶に残っている

 

過去のデータと

照合が出来るので、

 

悩み・課題・問題の

パターン・見立てを検討する

 

労力が大幅に削減できる

メリットがあるように思います。

 

しかし、

 

一旦、このパターン・見立て

に当てはめて、

 

クライアント様を

見てしまうと、

 

それ以外の可能性を

見つけることが

 

出来なくなってしまいます。

 

これが大きな失敗に

導かれるメカニズムであると

考えます。

 

場合によっては、

とてつもなく見当違い

 

になってしまうことがあります。

 

私が最初にやり始めた頃は、

知識・経験にかなり依った

 

セラピーになっていたと

思います。

 

 

 

“うまくいかせたい”

“結果を出したい”

 

という

 

欲求から目の前の

クライアント様を

 

見ているようで

見ていなくて、

 

ひたすら記憶した

知識・経験を

 

“見ていました。”

 

ある程度の結果は

出ましたが、

 

私の中では

 

“何かが違う!?”

“何が自分には足りない!?”と

 

考えるようになり、

試行錯誤の結果、

 

その問いの答えとして、

今、私が最も大切にしているのが、

 

人間としての

“在り方:Being

 

です。

 

心の課題・問題を

持ったクライアント様、

 

心理セラピストには

当然“解決”を期待して、

 

悪くても、“軽減”を

期待していらっしゃるので、

 

もちろん心理セラピスト

にはプレッシャーが

 

掛かる訳です。

 

ですから、始めた頃の私は、

このプレッシャーを

 

回避するために、

過去に記憶した

 

知識・経験を

思い出していましたし、

 

それに縛られていましたし、

その事実に

 

気付いていませんでした。

 

しかし、

この状態で

 

パフォーマンスは

うまくいきません。

 

心理セッションを

やっている最中は、

 

全ての先入観、情報を

リセットして、

 

絶えず“新鮮な目”を

持ってクライアント様に

 

共感して、

その時に最適で

 

ある質問や

声掛けがクライアント様の

 

変容を手助けするのだと

思います。

 

 

その時に最適な質問や

声掛けが出来る、

 

つまり、過去に記憶した

知識・経験で自らの

 

身を守らないようにするために

人間としての

 

“在り方:Being”を

日々の日常生活を

 

通じての修行の

積み重ねで

 

高めていくしかないと

考えています。

 

決して、一足飛びに

人間としての

 

“在り方:Being

身に付くものではないと

 

思います。

 

日々、是、修行です。