Webニュースを見ていると、表題の“社内失業中”という文字が目に止まった。
以下、日経新聞から引用

「社内失業者」と予備軍を抱える企業は全体の23%――。
人材サービスのエン・ジャパンが801社を対象に実施した
社内失業の実態調査でわかった。
従業員数の多い企業ほど比率が高く、
従業員数1000人以上の企業では41%に達した。
働き方改革や生産性向上への取り組みが進む中、
能力の高い従業員の仕事が増える一方、
仕事からあぶれる社員が出ている実態が明らかになった。
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私はサラリーマン経験があるので、
この社内失業をしていた人達を
見かけたことがありますし、
当時、あのまま収入を得るために
我慢して働いていたら、
この“社内失業”状態になっていたかもしれません。
人間の集合体である企業・組織というものがあれば、
必ず社内失業は存在すると思います。
会社にはざっくり大きく分けて、
いわゆる革新派チーム
(常に顧客ニーズのトレンドをモニターして、その都度
刷新して新しいものを創造して活躍している人達)と
従属派チーム
(その作られたストーリーをひたすら間違えずに、
フォローして協力を惜しまない人達)と
旧革新派チーム
(過去に上役から重用され革新派チームに属して、大成功をおさめ
社内中で賞賛を浴びた経験があるが、現在は全く主流ではない人達)に
分けられると思います。

私が前職在籍していた会社/事業部を
例に挙げて説明差し上げます。
私はプロフィールにも書かせて頂いたように、
30歳代前半は心臓不整脈治療に
関連する“輸入”製品群の担当でした。
社内では、医療機器“メーカー”(製造業)にも
関わらず、“輸入” 商品(海外製品輸入販売)を
売るとは、“メーカーとしてのプライド/節操はないのか?”・・・
という反発心を露わにする方々もいました。
しかし、確実に競合他社と差別化できて
売上/利益を確保できる製品群でしたので、
会社経営陣営からは売上構成比率を伸ばしたい商品群であり、
この製品群のマーケティング・販売に関わる人財は、
一躍、会社利益を担う重要なポジションに押し上げられました。

この時、会社の屋台骨を支える
図式が変わろうとしていた訳です。
上記で言うと、今まで従属派チームに
過ぎなかった人材が革新派チーム人財になった
瞬間であったと思います。
そして、私がサラリーマンをやっていた
24年間という期間で、従属派チームが
革新派チームに上がったり、
革新派チームが従属派チームもしくは
旧革新派チームに下がったり、という
状況を何度も何度も目撃しました。
それぞれのチームが入れ替わった後にどのような
顛末を遂げるのか、観察していますと、
旧革新派チームは社内失業状態になっている
場合が多いことに気付きました。
おそらく、過去に成功をして、社内で賛美・称賛され、
その成功体験パターンが忘れられなくて、
顧客ニーズが変わっているにも関わらず、時代遅れで、
顧客嗜好に合わないものであることに気付かずに
提供し続けた結果であると思われます。
なかなか成功パターンを捨てきれず、
自己改革が出来なくなってしまっているのが事実であると思います。

管理職社員達も腫物に触る感じで接していて、
やはり現革新派チーム(売上げ/利益の要)の
活動に影響があり、売上げ/利益が下がる
懸念がある仕事を任せることは出来ず、
誰がやっても当たり障りのない仕事を
旧革新派チームに振り分ける、
もしくは、全て仕事を取り上げるしかなかったのかもしれません。
しかし、こうすることで、ますます旧革新派チームメンバーは
やる気を失って、ネガティブ思考で物事を考えるので、
当然、“人災”となって、社内失業状態を保ち続ける訳です。
そして、管理職社員達は、
担当部署・事業部の生産性・パフォーマンスを上げるために、
“人災”を排除、たとえば他部署に転属、早期退職制度の
奨励などの措置を行ったとしても、残されたメンバーから必ずまた
新たな旧革新派チームが出来上がって、前例と同じように、
社内失業状態になるという悪循環が続きます。
だから、この事例を通じて、
“常勝軍団はいつか必ず衰退する”
“旧革新派チームは自己改革できない、変われない”
“旧革新派チームは人員が変わっても、存在自体は無くならない”などを
学ぶことが出来ました。
ただ今、現在、起きている問題としては、
旧革新派チームに仕事の期待ができないので、
その分、革新派チームにしわ寄せがいって、
さらなる負担が掛かることで、革新派チームの
人員が潰れてしまう可能性があるということです。
実際に会社/事業部をマネージメントしている管理職社員達は、
旧革新派チームを必要悪とみなし、このチームを残したままで組織改革を行うのか、
それともあくまでも利益/効率性重視で、
この旧革新派チームの存在を消滅させる
組織改革に挑戦するのか、各会社において
“社内失業者”の多面的な理解が問わるところですね。