芸能人薬物事犯

Yahooニュースで

芸能人の薬物関連

 

事犯について、

2つトピックが

 

書かれていました。

 

1つは

 

“槇原敬之被告、

初公判見送り、

覚醒剤取

締り法違反、

コロナ懸念か”

 

 

 

もう一つは、

 

清原和博氏 

執行猶予満了を報告 

これからの人生を

「薬物依存症の人たちと、

野球界、

高校野球に捧げたい」

 

た。

芸能人の薬物事犯に関して、

記憶にあるところでいうと、

 

 

女優 沢尻エリカさん、

 

俳優・ミュージシャン 

ピエール瀧さん、

 

元タレント 

田代まさしさん、

 

歌手 ASUKAさん、

 

歌手・女優 

酒井 法子さん、

 

KAT-TUN 

田口 淳之介さん

、田中 聖さん、

 

女優 小嶺 麗奈さん、

 

など挙げられます。

 

 

そして、

報道されると、

 

出演番組から

降板、所属事務所との

 

契約解除、

とにかく世間の目に

 

触れないように、

芸能界から

 

干されていきます。

 

私自身、今、

 

NADAI

 

National

Association of

Drug

and

Alcohol

Interventionists

 

http://www.nadai.us/

 

認定依存症専門

カウンセラーの

 

資格を取って

活動していますが、

 

日本での薬物事犯

に対する

 

大きく誤解されている、

 

多くの人達が

信じ込んでいること

 

について、

書いてみたいと思います。

 

“薬物事犯は厳罰

 

(懲役刑・社会的抹殺など)

で再犯を防げる”

 

と思っている

 

薬物事犯の

報道がなされると、

 

必ず“執行猶予 ○○年”

“実刑 ○○年”などの

 

厳罰に処せられ、

その上、芸能人であれば、

 

CM・広告会社に対する

違約金 ○○億円、

 

出演番組の放送自粛、

 SNS内での誹謗中傷など、

 

日本では薬物事犯については

 法的にも、社会的にも

 

制裁が課せられるが、

再犯率が高いのが現状です。

 

当事者にとってみれば、

“持っているもの”

 

全てを失ってしまう

感覚に近いと思われますが、

 

そんなとても辛い体験を

したとしても、再び薬物に

 

手を染めてしまう、

それが薬物依存症の

 

恐ろしいところです。

 

平成296月厚生労働省

調査発表によると、

 

覚醒剤事犯の再犯率は、

 平成28年 64.9%”

 

芸能人ではない人達

のデータですが、

 

傾向として再犯率は

平成18年から

 

10年連続で上がり

続けています。

 

実際に、

国立精神・神経医療

 

研究センター

精神保健研究所

 

薬物依存研究部部長 

松本 俊彦先生の

 

著書『薬物依存症』によると、

“薬物依存症者が再犯する

 

可能性が一番高いのは、

刑務所出所直後である”、

 

“刑務所内での

治療プログラムは

 

さほど効果がない、

米国の研究では、

 

薬物関連犯罪で

州立刑務所に服役して、

 

所内で回復プログラムに

参加したとしても、

 

出所後、3年以内の

再犯率が約78%に対して、

 

出所後の回復施設・

プログラムに

 

繋がり続けた人達の

3年以内再犯率が

21%“

 

であり、

 

薬物依存症に

ついては完治がなく、

 

寛解状態を続ける、

つまり”薬物を止める“

 

という状態を

続けるしかなく、

 

当事者一人の力で、

 

精神論で

(根性だ、気合だなど)、

 

恐怖心で

(二度と失いたくない、

非難されたくない)、

 

薬物を止め続けることは

不可能と言っても

 

過言ではないと思います。

 

薬物使用に関して、

ほとんどの人達は、

 

使用した際の快感

(正の相関関係)を

 

求めていると

考えていますが、

 

実際は、使用した

瞬間だけ

 

嫌な事を忘れる

(負の相関関係)

ことが出来る、

 

嫌な事を繰り返し忘れる、

麻痺させるために、

 

薬物を使用して

依存症になっていく訳です。

 

大変興味深い実験があります。

 

 

カナダ:

 

サイモンフレーザー大学の

ブルース・アレキサンダー教授

 

のチームが行った、

 

“ネズミの楽園;

Rat park”という実験

 

です。

 

 

 

32匹のネズミを

16匹×2グループ

 

A群、B群)に分けて、

全く異なった居住環境を設定、

 

 

A群の居住環境は、

ネズミ1匹分の

 

居住スペースが

 金網で仕切られていて、

 

他のネズミとの接触が

一切できないもの、

 

B群の居住環境は、

広々としたスペースで、

 

仕切りなどなく、

床には暖かくて、

 

巣が作りやすい常緑樹の

ウッドチップが

 

敷き詰められて、

いつでも好きな時に、

 

好きなだけ

十分な餌が

 

用意されました。

 

所々でネズミ達が

遊べるような

 

遊具を置いて、

交流の妨げに

 

ならないように工夫されました。

各グループには、

2種類のお水が

 

提供されました。

 

1つは普通のお水、

そしてもう一つは、

 

モルヒネ

 

(オピオイド鎮痛薬;

麻薬性鎮痛薬;

痛みを脳に伝える神経の

活動を抑制し、

強力な鎮痛作用を示す

 

入りのお水です。

 

モルヒネ入りのお水は、

普通とても苦いもの

 

になってしまい、

飲めた代物では

 

なくなるので、

砂糖水にモルヒネを

 

入れて提供されて、

57日間観察されました。

結果として、

A群のネズミ達は、

 

2種類あるお水でも、

モルヒネ水を頻繁に、

 

大量に飲み続け、

常に酩酊した状態

 

(ひどく酔っ払った状態)

であったのに対して、

 

B群のネズミ達は、

他のネズミとじゃれ合ったり、

 

交尾したりして、

モルヒネ水はなかなか

 

飲みませんでした。

 

そして、A群のネズミ中から

1B群に移動させて、

 

その後を観察しました。

 

移動して、最初の頃は

離脱症状と思われる

 

痙攣などを

呈していましたが、

 

徐々にB群の

ネズミ達とじゃれ合ったり、

 

遊びながら、

モルヒネ水ではなく、

 

普通の水を飲むように

なっていきました。

 

この実験が私達人間に教

えてくれているのは、

 

“薬物依存は孤独の病で、

自分自身の自由を

 

剥奪されている状態では

寛解はあり得ない”

  

“回復は、檻に閉じ込めた

独りぼっちの孤立状態ではなく、

 

コミニティー(共同体)・仲間の中で

行われることが望ましいということ”

 

でした。

 

Addiction(薬物中毒)

には、

Connection(繋がり

が大切である、

 

ということです。

 

以上から、薬物事犯は

 

厳罰

(懲役刑・社会的制裁)

 

による

抑止力になりえない。

 

 

薬物依存症になる過程として、

快感を求める正の方向の

 

相関関係ではなく、

生き辛さ・

 

苦しみを和らげる、

麻痺させる

 

負の方向の

相関関係であること。

 

そして、再発を防止する

最良の方法は、孤独を

 

感じさせない社会、

安心して

 

“やめられない”といえる

社会を我々、

 

ひとりひとりが

心掛けて作っていくもの

 

であると思います。