『ぴえん』という病

Webニュースで、

“トー横キッズ”という単語が、

 

一時期よく目に触れました。

 

私自身、

依存症専門

 

カウンセラーの

ライセンスを持っているので、

 

その依存症当事者の

お話を伺っていると、

 

“トー横キッズ”

呼ばれる未成年の

 

子供達がWebニュースで

報道される際の

 

心理状態と

類似しているのかな、

 

と私の興味・関心の

対象でありました。

 

 

今回、佐々木チワワさんが

10代の頃から、

 

新宿歌舞伎町に

通い続けて、取材を

 

重ねた集大成を

新宿歌舞伎町の

 

社会学として表現して、

“『ぴえん』という病”

 

という本

として上梓されました。

 

私が心理セラピーを通じて、

関わっている女性達が

 

訴えるお悩みとこの本の中で

紹介されている事象は、

 

同じ源流であると思えて、

大変興味深く読ませて

 

頂きました。

 

ご存じない方のために、

基本的な用語の

 

解説ですが、

“ぴえん”は、

 

汎用性が高い

若者言葉であって、

 

少し前なら卍(まんじ)。

 

意味は非常に移ろい

易いけれど、

 

最悪とかやってられない、

 

とかで使うようで、

JC(女子中学生)・

JK(女子高生)

流行語大賞

 

を獲得し、そのぴえん顔の

アイコンも急速に

 

広まっていった訳です。

 

そして、

“トー横キッズ”というのは、

 

新宿歌舞伎町の

真ん中にある、

 

映画館TOHO新宿、

の横にたむろしている

 

未成年の子供達のことで、

 

物理的に居場所がない、

帰る家がない、

もしくは、

家にいても、

心理的に居場所がない、

 

という共通点があり、

心理的に未成熟で、

 

不安定なので、

悪知恵が働く悪い

 

大人達にいいように

利用されている事件

 

がたまに報道されたりします。

 

まず、衝撃的だったのが、

本の帯に書いてある

 

ぴえん女子が

インタビューで回答したセリフ、

 

“「推し」に貢げない私に、

生きている価値は

ありますか?”

 

というものです。

 

 

日本でコロナが

まん延した第1波の時に、

 

報道で取り上げられたのが、

新宿歌舞伎町の

 

ホストクラブでの

集団クラスターでした。

 

の当時、

まだコロナウィルスに

 

ついての知識が

浅かったので、

 

世評は、“外出自粛などの

厳戒令が出ているにも

 

関わらず、不要不急の

夜間外出をするなんて!”

 

かなり批判的な意見が

あったと思います。

 

しかし、実態が報道されると、

それは推しのホストに

 

会うために、

ホスト通いが止められない、

 

いわゆるホス狂

いわれる若年層の

 

女子達のことでした。

彼女達がホスト通いを

 

止められない理由として、

お金を貢いで、

 

担当ホストの売り上げに

貢献している間は、

 

担当ホストが

とことんお姫様扱いを

 

してくれる。

 

彼女達にとって、

コロナウィルスに

 

感染するよりも、

通えなくなって、

 

推しの担当ホストから

見捨てられる方が

 

よっぽど怖い、

ということが

 

明るみにでました。

 

彼女達は、

担当ホストの売り上げを

 

あげるために、

文字通り、

 

身体を削って

夜職や性風俗で働き、

 

その給料ほぼ全額を

使うことで担当ホストの

 

太客/エース

(お金を一番貢ぐので、

待遇も他のお客に

比べれば、優遇される)

 

になろうとする訳です。

 

 

また、本の中でも

紹介されていましたが、

 

手首をカッターナイフで

切るリストカットは、

 

彼女達の間では

手首に傷があることが

 

一種のファッションで、

Twitterで検索してみても、

 

血がにじんだ画像が

出てきます。

 

ここまで、お話してきて、

彼女達の生態が

 

なんとなくご理解頂けた

かもしれません。

 

ざっくとまとめると、

 

家族関係がよくない、

もしくは、

心の居場所がなく、

映画館TOHO新宿の

 

横のスペースに

集まって、

 

やっと理解し合える仲間に

出会えて、

 

お金さえ払えば、

お姫様扱いしてくれる

 

ホストクラブに

のめり込んでいく。

 

性風俗で稼げている間は

いいが、

 

いずれ暗黙のルールである、

年齢制限にひっかかって、

 

稼げなくなり、

最大のココロの癒しに

 

なっていたホストクラブ通いが

出来なくなって、

 

太客/エースの座を

いとも簡単に

 

奪われてしまう。

 

その後、20195月に

発生したホスト傷害事件のように、

 

非常に歪んだ愛情

 

“一緒に居るためには、

殺すしかない、

殺してしまえば、

永遠になって、

これ以上傷つくことはない”

 

と思って、犯行に及んだり、

どん底で失望の挙句、

 

最後に選ぶ行動が

新宿歌舞伎町の

 

ど真ん中で、

自殺の名所と呼ばれる、

 

“第6トーアビル”からの

投身自殺ですが、

 

報道はあまりされていません。

 

この新宿歌舞伎町で

行われている、

 

空虚と欲望が織りなす

人間ドラマ脚本

 

お客さんにも、

自分自身にも、

 

うそをつき続けて、

虚構の偶像を作り、

 

保ち続けないと

いけない

 

自己愛性

パーソナリティの

イケメンホスト

 

 

生まれてこの方、

認められたことがない、

 

褒められたことがなく、

ご自身の人生に

 

失望して、

自己否定を続けて、

 

自分に生きる価値がない

と強く思っていた

 

依存性

パーソナリティの姫たち

 

が磁石が

引き寄せられるように、

 

ぴったりくっついて

離れられなく

 

なってしまう愛憎劇、

 

人間のだれしもが

持っている

 

独占欲、

顕示欲、

名誉欲

 

などをとても色濃く

表現されている

 

舞台であると感じています。

 

これまでのお話を

他人事だから、

 

関係ないと思って

受け止められている方々も

 

いらっしゃると思います。

 

 

しかし、

 

この人間の行動心理

については、

 

他人事はありません。

 

空虚感を

何かで埋めようと

する心理

 

何かを強烈に

獲得したい、

そのためには、

どんな犠牲も

いとわない、

という心理、

 

あなたの中にもありませんか?