
前号では、
“世の中便利になりましたが・・・”
というタイトルで、
高度な技術発展が
もたらした便利さ
と
その反面、
日常生活を営む人間の
ココロに及ぼした影響に
ついて、対比して
書かせて頂きました。
生産性(便利になる)が
あがって、時間的な余裕を
もたらして、
人に幸せを
運んでくれるはずであった、
ところが、
多くの人がココロの不調を
抱えている現実、
時間に追われる
日々ですよね。
そして、このような大人の影響を
受けている子供達がいます。
概して、
基本的な生活習慣や
態度が身についていない,
他者とのかかわりが苦手,
自制心や耐性,
規範意識が
十分に育っていない
などで、
家庭内の不和、
親からの過剰な期待や干渉、
いじめ、
友人関係のトラブル
の対象になった不登校児が
増加して、受け皿として
全国でフリースクールも
増加傾向にあります。
今回は、
著名な精神科医から
指摘された、
1980年代に急増して、
2000年以降は
爆発的に増加した
“愛着関連障害”と
上記のような行動を
起こしてしまっている
関連性について、
お話したいと思います。
※愛着とは、
イギリスの精神科医ボウルビィが
提唱した概念で、
特定の対象との
情緒的な結びつきを指し、
乳幼児が母親との
情緒的な相互作用を
通して形成される、
母親との
確固たる絆のことです。
では、何が原因で
“愛着障害”が
起きてしまったのか!?
という疑問が
湧いてくると思います。
様々な要因が考えられると
思いますが、
今回は、2つの要因を
ピックアップしてお話します。

① 高度に発展した情報化社会
この件については、
前号でも書かせて頂きました、
パソコンの普及
と共に大量データ通信技術が
開発されて、
スマホがあればほとんどの事が
出来るようになりました。
生産性が向上し、
便利になったわけです。
その反面、
直接面会することは無くなったので、
オンライン会議では
体温感・温度感を
感じることなく、自分の意見を
表現できるようになり、
人と人との絆が薄れてしまう
結果を導き出しました。
この現象は、
会社や共同体内だけでなく、
家族でも発生しています。
この直接面会せずに、
体温感・温度感を
感じることない環境下に
身を置くことによって、
脳科学的に、
(回避性愛着障害
岡田尊司先生著より引用)、
“内側前頭前野などの社会脳
(顔を見る、気持ちを推測すると
いった社会的活動に
際して使われる脳の領域)
が働きにくい。
人が行動するのを見るとき、
同じ行動に関わる
脳の領域が活性化される。
これがミラーシステムであり、
この仕組みによって
共感や共鳴も生じる。
ところが、
相手の行動が
見えない状況では、
このミラーシステムも
活性化されないので、
本来の共感も働きにくい。
物や数字を扱う様に、
対人関係も処理されてしまう。“

ということで、
皮肉なことに、
他人に共感する力;
気持ちを推測する力が
養われない状況が
作り出されている訳です。
そして、
この状況は母子間でも
発生していて、
幼少期・学童期・青年前期
(0歳から15歳頃まで)に
一番大切である母親との
スキンシップ、アイコンタクト、
体温感・温度感がある
コミュニケーションが
欠落する
ことによって、
対人関係を円滑
(ストレス・不安を和らげたり、
落ち着きがあったり、
社会性を高めたり、
親密さを感じ、
寛容で優しい気持ちでいる)
にするために
オキシトシンと言われる
ホルモンの分泌が
正常になされないことで、
精神的に不安で、
自信がなく、
極端に偏った人格を
持ってしまう傾向にある、
ということが示されています。
これらの全行程を指して、
愛着関連障害と
言われています。

② 十分なバックアップがない
状態での女性の社会進出
日本でも、
多様化される社会の一部として
“もっと女性の社会進出を”
や
“女性管理職比率を25%以上”
を掲げている企業が
多いと思いますが、
現状、日本では、出産・育児に
関して十分な
社会的バックアップ体制が
全く取れていない状態なので、
様々な課題が
浮き彫りにされています。
子供がまだ幼いにも関わらず、
母親が激務・勤勉に
仕事をせざるを得ない環境で、
時間を費やしてしまうことで
親子間の体温を
感じる交流、人と人:絆、
愛着の交流が
薄くなってしまっています。
一昔前、
当たり前のようにあった、
夫婦共働きでも、
祖父祖母が同居する
大家族で、幼い子供の
世話を行って、
たっぷり愛情を
注がれていた状況から、
現代は核家族化が進み、
“働く女性”が増えて、
女性の就業率が
向上したことは事実ですが、
それに伴った
母子間の絆を
サポートする社会保障制度;
サポート体制が十分ではなく、
愛着関連障害が
起こりやすい状況です。

以上2点を
ピックアップさせて頂きました。
子供時代に
養育者との体温感・温度感を
感じられる
コミュニケーションや
スキンシップ、
アイコンタクトは、
その後の子供人生に
大きく影響を与えます。
ですから、その部分は
アナログにしてみて下さい。