
以前にご紹介した
“ビリーフ(信条)
成育環境下で獲得した、
その方の思考・感情・行動に
影響を及ぼす
行動規範になるもの、
信じていること、
を少しだけご紹介しました。
その中で、人間を行動に
駆り立てるドライバーと
呼ばれるものがあり、
私も強く持っていたものが
”完全・完璧でなければならない“
というものです。
おそらく、皆さんも
強弱濃淡はあると思いますが、
持っていると思います。

特徴として、
“仕事が好き”
“仕事の完成度にこだわる”
“ちゃんとしないといけないと思っている”
“身なりもきっちりしている”
“物事を突き詰めないと気が済まない”
“出来た部分より
出来なかった部分に目がいく”
“張り詰めた印象”
などがあります。
果たして、皆さんはいかがでしょうか?
完璧を目指して、
突き詰めること、
完成度を挙げること自体、
全く悪い事ではありません。
しかし、
私のように、
完璧を目指して、
やり過ぎてしまい、
私の場合は
原因不明の病気で
倒れる、
ほかのケースでは、
周囲の他人にも、
完璧を求めて、
厳しくあたったせいで、
争いを生んでしまったり、
厄介者扱いされたりして、
予想外の結果を
招いてしまった人に対して、
お話したいと思います。

人間が日常生活を
送っているこの世界で、
大自然が支配する
基本ルールがあります。
それは、
“満ちれば、欠ける”
というものです。
“満月を過ぎた月が
次第に欠けていくように、
物事も全盛期を
過ぎると衰えていく”
もので、
中国の史記では、
“満つれば虧くる:
みつればかくる”と
表現されて、
日本でも
平家物語の冒頭部で、
“盛者必衰の理をあらわす”
とあり、
意味しているところは同じです。
さらに事例を挙げますと、
栃木県に日光東照宮という
神社があります。
江戸幕府初代将軍
徳川家康公を主祭神として
祀っている神社です。
江戸時代は、
歴史の授業で学んだように、
日本史上に類を見ない
400年間も続いた
長期政権だった訳ですが、
なぜこのように長期政権を
続けることができたのか、
というヒントが
この神社にはあります。

それはこの日光東照宮の
陽明門は、
12本の柱で支えられていますが、
1本だけ他の柱の模様とは
逆さまに彫られています。
これらも
“完璧なものは、
その瞬間から崩壊が始まる”
とされ、この1本は
“魔除けの逆柱
(さかさばしら)”があり、
陽明門は逆柱があることによって、
いつまでも満ちることはなく、
ずっと不完全なままで
いることができたので、
陽明門は崩壊をまぬがれ、
現代にこうして
受け継がれていると
考えられています。
まとめますと、
完全・完璧を
目指して頑張ることは、
決して悪い事ではない、
ただ、完璧ではなく、
不完全であっても、
それは“欠ける”ことを
防いでくれた出来事なので、
出来なかった自分を
責めるより、
むしろ感謝すべきことです。
“完全・完璧がいい”という価値観を
持ってしまう事がとても危険です。
物事には、必ず、陰と陽があり、
同時に発生しています。
どちらに意識を向けるかは、
あなたが決められます。