
私は、
心理カウンセラーとして、
独立起業する前、
24年間
医療機器製造会社の
輸入部門で、
心臓不整脈治療に
関連する機器・デバイスの
担当をしていました。
具体的には、
心拍が遅くなってしまう
病態に対して、
ペースメーカー、
と呼ばれる機器や
心拍が異常に早くなる
病態に対して、
植え込み型除細動器
や
カテーテル心筋焼灼術
が治療のために
使われるのですが、
この製品群の
輸入販売に
関わっていました。
ですので、
医療業界のことは、
心臓不整脈部門でなくても、
だいたいわかります。

先日、
Webニュースで
報道されていたのが、
東京大学大学院・
医学系研究科の
皮膚科学教授(61)
と、
特任准教授(45)が、
2023年春から、
共同研究の相手である
一般社団法人の代表の男性に、
総額1500万円以上に
及ぶ高額な接待を
求め、受け続けてきたもの、
その接待の内容が、
料亭や銀座の
クラブに始まり、
研究を放り出して興じた
日中の吉原ソープランド通いなど、
まさに酒池肉林の
供応接待。
国立大学法人の教職員は、
いわゆる
“みなし公務員”ですので、
研究などで便宜を
図る見返りに接待を
受けたのであれば、
収賄などの罪に問われる
可能性もあります。
実際、
警視庁の捜査二課も
この問題に
強く興味を持ち、
捜査に
着手しているそうです。
この報道を受けて、
私は
“やっぱりまだあったのか!?”
と思いました。

上記で提示した医療機器は、
とても高額なので
その決定権者には、
利権が集まります。
これは、
医師と業者間だけではなく、
同じ図式で公職選挙法に
違反する政治家と企業、
でも、報道されたりしますよね。
この図式は、
かなり隠蔽が巧妙には
なってきましたが、
まだまだ根深く
残っているようです。
重要な決定権を
与えられること、
そして、
多額のお金を
動かせること、
それに伴って、
多くの人達を操ることが
できるようになると、
人間のココロの動きとして、
欲望・欲求は
今回の事件のように、
ますます肥大していきます。
私が当時、
心ある若手の先生方と
お付き合いをさせて
頂いていた時、
“患者のため”
“医療が発展するため”
と志が高かった
医師が20年も経てば、
利権と権力にまみれていて、
あの時の志はどこにいったの、
って思ったことは
少なからずあります。

医師も人間ですから、
満たされないココロ、
承認欲求があります。
それで、
利権・承認欲求・
名誉・地位に
走る医師
と
走らない医師
がいて、その違いは、
様々な角度から
分析できると思いますが、
ココロの世界の
観点から言えば、
理不尽とも思える
苦難・苦境を
乗り越えてきたかどうか、
という点にあると思います。
医師の世界で、
大学病院で
院長や教授のポストに
就くためには、
研究価値が高い
医学論文を
発表しなければなりません。
その医学論文を
発表するために、
数多くの臨床症例や
動物実験をして、
データを集め
なければなりません。
この過程が辛いし、
しんどい時があります。
この過程で、
上層部からプレッシャーを
掛けられたり、
ライバル医師からの
裏切りにあったりとか、
データ漏洩があったり、
データ捏造があったりすると、
途中で投げ出したく
なることだってあります。

ただ、
そのようなトラブルを含んで、
逃げずに対処してきた医師、
ちょっとやそっとのことでは
動じない医師は、
同僚や上層部、
後輩達から絶大に
信頼をされていて、
その“トラブル”を通じて、
自分自身を鍛えてきたので、
どんなに高名な
ポストについても
汚職に手を
染めることはなかったです。
逆に、
汚職に
手を染めてしまう医師は、
特徴として、
ストレス耐性がなっていなくて、
ストレス因子を
お金や権力を使って、
何とか回避しようとします。
たまたま
ラッキーな人事異動が
重なったり、
医師家系で
影響力を持っていたりすると、
利権・承認欲求・
名誉・地位の中心に
置かれたりします。

今回は医師の世界で
お話ししましたが、
私達、一般的な人間にも
言えることで、
自分を律してトラブルの
渦中に身を置くことは、
進化・成長を
遂げるためには不可欠です。
回避したところで、
必ず、
場面を変えて、
登場人物を変えて、
自分のココロに
向き合うまで、
また同じ事が起きますよ。