
心理カウンセリングを
やっていると、
良く出会うケースが
“利用されている”
のに、
“愛されている”
と勘違いをされている
ケースです。
相手のために、
異常なまでの
自己犠牲を払って、
相手に尽くす、
その対価として
私は愛されている、
私は必要とされる、
と思っている方、
かなり多いと感じます。
事例を通じて、
具体的に説明したいと
思います。
(ご紹介するケースは
全てクライアント様
許可済で、
ご本人が
同定できないように、
再構成をしています。)

ケース①:
A美さんは、
こどもの頃、買いたいものを
買ってもらえたし、
やりたい習い事も
やらせてもらえた、
両親から暴力を
受けた記憶がない、
虐待・ネグレクトされた記憶は
一切なく、何不自由なく
育ってきたと自覚しています。
しかし、
大人になった
今生きることが辛く、
苦しいと訴え、
“死にたい”とも
口走るように
なってしまいました。
A美さんに幼少期のことを
詳しく聞いてみると、
“いい子”
“できる子”
“両親が自慢できる子”
をひたすら演じてきたことが
わかりました。
両親からの期待は
たとえ言葉にしなくても、
非言語で
こどもに伝わります。
両親からA美さんが
受け取っていたメッセージは、
“明朗活発で、
勉強がよくできて、
友達にも優しくして、
ご近所や学校で(先生から)
褒められる存在で居てくれ、
そうでなければ、
安心安全を感じるような
居場所はないぞ”
“この家庭では、
両親の期待の
応えられるこどもは、
居場所があるけど、
期待に応えられない
こどもは家族メンバーじゃない
から出ていけ”
のようなメッセージを
A美さんは受け取っていて、
それに応えるために、
“ありのまま”の
自分を偽って、
両親の理想像になるために
(生き残るために)
努力をして、
結果を出し続けたのだと
思います。
表題に書かせて
頂きましたが、
A美さんは
利用されていたのか
それとも
愛されていた
のか、
という疑問がありますが、
これは両親が抱えていた
欠乏感、虚無感の影響で、
足りないと思われる部分を
こどもであるA美さんが
ご近所や学校で
高く評価されることで、
(両親は)埋められると
感じていたので、
A美さんは両親の感情を
満たすために、
利用されていたに
過ぎない訳です。

ケース②:
B子さんは意中の男性と
恋愛関係になっても、
いつも辛い別れ方で
破局を向かえてしまいます。
B子さんは
いつも少し危ない匂いがする
男性に
引き付けられるようです。
恋愛を始めた頃は、
彼氏から優しくされて、
“今度こそ、うまくいく”と
思った矢先に、
結婚に向けての
同棲生活が始まると、
彼氏は働かなくなり、
TVゲームをずっとやっていて、
その態度をB子さんから
注意されると激怒し、
彼氏から別れる
素振りをされると、
B子さんは泣きながら謝って
許しを請うそうです。
彼氏が
友人と
飲みに行く時の飲み代
や
ゲーム課金のお金
までB子さんにねだるように
なったそうです。
それでも、
B子さんはたまに
彼氏から優しくされたり、
涙を流しながら
弱音を吐かれると、
“この人には
私が絶対に必要”
と思って、
バイトをかけもって、
お金を工面して
あげたそうです。
幼少期の
家族関係を伺うと、
いつも両親の仲が悪く、
言い争いが
絶えず起きていて、
最終的には、
いつもお父さんに罵倒されて、
泣き崩れて、
全然笑顔を見たことがない
お母さんを気遣って、
お母さんの愚痴を
聞いてあげることで、
B子さんは
家庭内の居場所を
確立していました。
B子さんはこの頃に
身に着けた、
“困っている人に対して、
過剰すぎる
自己犠牲をすれば、
居場所が与えられる”
という思い込みを
大人になっても
無意識のうちに
やり続け、
“ダメンズ”の
お世話をやることで、
自分の居場所を
見つけていました。
このB子さんのケースにしても、
ご自身では
“愛されている”
と認識していましたが、
“利用されていた”
訳です。

今、2つの事例を見て頂きました。
他人から利用されることで、
自分を癒している
(誤魔化している)人、
皆さんの周囲にいませんか?
続きは後編で