
昨日、
元サントリーホールディングスの
新浪会長が大麻草の
違法成分THC
(テトラヒドロカンナビノール)が
含まれたサプリメントを
アメリカで購入したことが
きっかけで警察捜査が
及んだこと
や
新進気鋭、
将来を有望視されていた
俳優が麻薬取締法違反で
逮捕されるニュースを
記事にさせて頂きました。
私自身、
NADAI
(全米薬物アルコール
インタベンショニスト協会)が
提供している
プログラムを受講して、
依存症専門の
心理カウンセラーの
資格取得した、
というところは昨日の記事で
書かせて頂きました。
上述の薬物依存症について、
一般の方々にも
よりよく理解してもらうために、
薬物依存症は
『依存は正方向の相関ではなく、
負方向の相関』であること
を説明させていただきました。
今日は
もう少し薬物依存症について、
大切なことを
説明したいと思います。

・Addiction(依存)は
厳罰よりConnection
(人と人のつながり)
薬物依存症については、
とても有名な実験があります。
カナダ:サイモンフレイザー大学
ブルース・アレキサンダー教授の
教室で行った
“ネズミの楽園(ラットパーク)”
というものです。
ネズミをランダムに
16匹×2グループを作り、
居住環境を違えてみました。
A群16匹は、
1匹づつ金網で出来た檻の
隔離された状態で飼育されて、
B群16匹は、
広々として、
ウッドチップが敷き詰められて、
ジャングルジムや遊び道具が
設置され、
エサはいつでも、
好きなだけ食べられる環境で
雄雌放し飼いにされました。
そして、
両群に共通して、
普通の水とモルヒネ
(覚せい剤より
強い依存性をもっていて、
ひどく酔っ払った
状態になれる)+砂糖
(モルヒネだけだと
とても苦くなって飲めた
代物ではなくなるから)
入りの水を与えて、
57日間観察を行いました。

結果として、
A群16匹のネズミは
普通の水はあまり消費されずに、
もっぱらモルヒネ+砂糖水を
消費していました。
B群16匹は広々とした空間で、
仲間のネズミとじゃれあったり、
交尾したりしていて、
モルヒネ+砂糖水を消費せずに、
普通の水を消費していました。
そして、
実験日程後半になった時に、
A群に与えていた
モルヒネ+砂糖水から
砂糖を抜いて、
モルヒネのみで
非常に苦い味のまま
与えていましたが、
実験プロトコール
変更前と同じく、
ひどく苦い味の
モルヒネ水のみが
消費されていました。
そして、
A群16匹の
モルヒネ中毒に
なっているネズミの中から、
1匹抜粋して、
B群16匹が生活をしている
空間に移しました。

元A群ネズミは最初のうち、
モルヒネの
離脱症状としてみられる
震えや大量の汗が
観察されて、
広い空間の中、
1匹で過ごしていましたが、
時間経過と共に、
B群ネズミ達とじゃれあったりして、
その頃にはモルヒネ水は
一切飲まなくなり、
普通の水を飲んでいました。
この実験結果から
導き出される結論は、
一切の交流を絶って、
1匹づつ隔離して
孤立させるよりも、
コミュニティの中で
“つながり”をつくって、
回復させていく方が
有効だということでした。
この実験が
教えてくれているのは、
回復過程で“つながり”が
大切だということです。
昨日、
ご紹介した
薬物事件再犯率については、
令和4年度の
覚せい剤事犯については
67.7%で、
再発するタイミングが
一番多いのが、
出所後すぐという
調査結果が出ています。

ですので、
日本では
いまだに
薬物事犯については、
懲役刑の厳罰が
課せられています。
しかし、
再犯率は67.7%であり、
厳罰が功を奏しているとは
考えられません。
ですので、
薬物依存症に対して、
治療を行っている施設、
回復施設で
働いている人々からは
薬物依存症当事者が
社会で孤独にならないように、
つながりが持てる
社会制度、
回復プログラムを
欲している方々が
圧倒的に多いです。
そのための第一歩として、
薬物依存症
当事者の背景を理解して、
人間社会で
孤独を感じないようにするために、
一般の方々の
理解が必要です。
Addiction(依存)の回復は
厳罰よりConnection
(人と人のつながり)です。