
試合後のインタビュー映像を見て、
私は思わず涙がこぼれました。
男子110mハードルの
村竹ラシッド選手の
「何が足りなかったんだろう」
という言葉。
そして、
女子やり投げの
北口榛花選手が、
インタビュー後に静かに
泣き崩れる姿。
観客や視聴者の多くが、
彼らの涙につられて
涙を流しました。
一体、
なぜ人は「誰かの涙」で
こんなにも心を
揺さぶられるのでしょうか?

大会のドラマと印象的な場面
世界陸上2025
東京大会は
9月21日まで開催され、
多くの熱戦が
繰り広げられました。
私はYouTubeの
ハイライト動画を
通して観戦していましたが、
世界記録の更新や
予想外の番狂わせに、
思わず声を上げてしまう
場面もありました。
その中でも
特に印象に残ったのが、
村竹ラシッド選手と
北口榛花選手の
競技後インタビューです。
村竹選手は決勝5位。
「何が足りなかったんだろう」と
涙ながらに語りました。
北口選手は前回の
金メダルから一転、
ケガの影響で予選敗退。
インタビュー後には
泣き崩れる姿が映りました。
コメント欄には、
こんな声が並んでいました:
「わたしもつられて
泣いてしまいました」
「日本スポーツ界の宝だよ」
「何も間違っていません。
何も恥じることはありません」
この共感の広がり自体が、
人間の「心の仕組み」を
よく表しています。

なぜ観客は涙するのか
― 心理学の視点
1. 感情は伝染する
人にはもともと、
他人の感情を
感じ取る力があります。
脳には
「ミラーニューロン」と呼ばれる
神経細胞があり、
他人の表情や行動を
見ただけで、
自分が体験しているかのように
感じてしまうのです。
だからこそ、
画面越しでも
選手の涙に
心が揺さぶられます。
涙した人の多くは、
過去に
「全力で挑んだけれど
夢がかなわなかった」
経験を持っているはずです。
部活の試合、
資格試験、受験、
スキル習得…。
その時の悔しさや無力感が、
選手の姿に重なり、
感情を刺激します。
「不器用でも、一生懸命に
努力している人を応援したい」
これは外に向けた
行為のように見えて、
実は自分自身を
応援している行為です。
選手の涙に胸を打たれるのは、
過去の自分を抱きしめ
直すような感覚でもあります。

まとめ ― 涙は“自己への
応援”でもある
スポーツの涙は、
ただの感動シーンではありません。
それは人の心に備わった
共感の力と、
自分の過去の
経験との重なりによって
生まれるものです。
だからこそ、
誰かの姿に涙することは
「相手を応援している」だけでなく、
「自分をもう一度
応援している」
行為でもあるのです。
最近、
誰かの姿に自分を
重ねて涙したことは
ありますか?
その涙は、過去の自分を
励ますメッセージだった
のかもしれません。