
最近、糖尿病治療薬
「マンジャロ」がニュースで
取り上げられていました。
もともとは血糖値を
コントロールするための
薬ですが、
「食欲が落ちる」という
作用があるため、
ダイエット目的で
使う人が出てきています。
しかしその裏で、
・生理が止まる
・急激な体重減少から
のリバウンド
・強い吐き気や体調不良
・薬への依存
といった健康被害が
報告され、
本当に必要な患者さんへ
十分に行き渡らない
状況が起きています。
では、なぜここまでして
「痩せたい」と願う人が
後を絶たないのでしょうか?

「痩せたい」願望はずっと昔から
実はこの流れ、
最近に始まったこと
ではありません。
私の記憶に残っているのは
1995年。
クリスチャン・ディオールが
「塗る引き締め
ボディクリーム」を
発売したときのことです。
痩せるとは言えず
「引き締める」という
表現でしたが、
発売と同時に百貨店には
1階から7階まで大行列。
その後も
「引き締め」コスメは
次々に登場し、
顔用へと広がっていきました。
そして令和の今も、
美容系YouTuberやモデルの
SNSで紹介されたコスメが
瞬く間に広まり、
多くの女性が
買い求めています。

なぜ女性はそこまでして
痩せたいのか?
「どうして危険を冒してまで?」と
不思議に思う方もいるでしょう。
その大きな背景にあるのが
ルッキズム
(外見至上主義) です。
現代社会では、
雑誌やSNS、
テレビを通して
「痩せている=美しい」
「細い=魅力的」
というイメージが
繰り返し刷り込まれています。
いつの間にか
それが“常識”のように定着し、
多くの女性が無意識のうちに
その基準に縛られてしまうのです。
例えば、友人同士の
会話の中でこんなやりとりが
あるかもしれません。
・「あの子より痩せているから、
ちょっと安心」
・「あの子の方が
脚が細いよね…」
一見、
何気ない比較に思えますが、
その裏には
「外見カーストで下に
見られたくない」という
強い不安や恐怖が
潜んでいます。
もし下位に位置づけられれば、
陰口や誹謗中傷、
仲間外れに
されるかもしれない。
逆に上位であれば、
承認欲求や優越感を
満たすことができる。
この
“見えない序列”が
女性同士の
間に確かに存在し、
行動を大きく左右しているのです。
だからこそ、
健康を害するリスクがあると
分かっていても、
「太るよりはまし」
「取り残されるくらいなら、
やってみよう」
と思ってしまう。
痩せることは
単なる美容の話ではなく、
“自分の居場所を
守るための戦い”
になっているのです。

最後に
中には、
メイク技術や美容整形で
劇的に変化する
女性もいます。
ですが、
どんなに外見を磨いても
「美容への欲求」は
消えることがありません。
なぜなら、
それは
自分の中にいる
“認められない自分”を
隠そうとする心
が根底にあるから。
その心がある限り、
痩身美容はこれからも
流行り続けるでしょう。