
では愛着問題の
概要について、
愛着はココロの問題の源②
では、
どのようなお悩みがあるのか、
どう生き辛いのか、
について、
3つご紹介しました。
では、
お悩みの続きとして、
恋愛と育児について、
お話ししました。
前号の結びにも書きましたが、
愛着障害が原因と
考えられるお悩み
(自己否定がやめられない、
過剰な頑張りを止められない、
いつも空虚感がある、
ネガティブに過剰反応する、
人間関係が不安定、
恋愛・子育てに問題を
生じやすい)
の種類はまだまだあります。
表題にも書かせて
頂いているように、
ココロの問題の源は、
全て愛着にある、
といっても過言
ではないと思います
そして、
今号では、愛着障害を
引き起こしている
直接的な原因、
幼少期に
養育者(特に母親)と
のスキンシップが取れなかった、
育児放棄にあった、
養育者がころころ変わった
などの原因以外の
社会的要因について、
お話します。

①高度に発達した情報化社会
まず高度に発達した
情報化社会についてですが、
1970年代に
パーソナル・コンピューターが
開発されて、
その後、全世界に
普及していき、
普及するに伴って、
大量情報伝達が
可能になって、
メール、音声配信、
動画配信が
行われるようになり、
私達はとても便利で、
快適になりました。
デスクトップ型だけではなく、
ラップトップ型、タブレット型や
スマートホーン型の普及も
著しく、だれもが
手軽に使いこなすこと
が出来るようになり、
いつでも、どこでも 情報量、
情報の質に差異がない
ほどまでになりました。
しかし、その反面として、
直接面会せずに、
つまり体温感・温度感を
感じることなく、
自分自身の意見を
表現することが可能に
なることで、人と人との絆は
薄れてしまうという
結果を導き出しました。

確かに、人間関係を
煩わしいと思われている
人にとって、
嫌いな人、苦手な人と
面と向かわなくても、
意見を表現できる機会が
もてる訳ですから、
人間関係を煩わしいと
思っている人達にとってみれば、
高度に発達した
情報化社会は
好都合な社会
なのかもしれません。
ただ、その副作用として、
体温を感じる交流、
他人の感情に
共感する機会など
が極端に少なくなった
と言えます。
この現象は、
会社、組織、
共同体内だけでなく、
家族の中でも
発生しています。
この直接面会せずに、
体温感・温度感を
感じることない環境下に
身を置くことによって、
脳科学的に、
(回避性愛着障害
岡田尊司先生著より引用)、

『内側前頭前野などの
社会脳
(顔を見る、
気持ちを推測する
といった社会的活動に
際して使われる脳の領域)が
働きにくい。
人が行動するのを見るとき、
同じ行動に関わる
脳の領域が活性化される。
これがミラーシステムであり、
この仕組みによって
共感や共鳴も生じる。
ところが、相手の行動が
見えない状況では、
このミラーシステムも
活性化されないので、
本来の共感も働きにくい。
物や数字を扱う様に、
対人関係も
処理されてしまう。』
(引用終わり)
ということで、
皮肉にも他人に共感する力;
気持ちを推測する力が
養われない状況が
作り出されている訳です。

そして、
この状況は母子間でも
発生していて、
幼少期・学童期・青年前期
(0歳から15歳頃まで)に
一番大切である母親との
スキンシップ、アイコンタクト、
体温感・温度感がある
コミュニケーションが
欠落することによって、
対人関係を円滑
(ストレス・不安を和らげたり、
落ち着きがあったり、
社会性を高めたり、
親密さを感じ、
寛容で優しい気持ちでいる)
にするためにオキシトシンと
言われるホルモンの分泌が
正常になされないことで、
精神的に不安で、
自信がなく、
極端に偏った人格
を持ってしまう傾向にある、
ということが
発表されている訳です。
これらの全行程を指して、
愛着関連障害;
愛着システムの崩壊であると
定義されています。
次号では、
もうひとつの社会的要因について、
お話します。